セルライトと美容のために知っておきたい脂肪、脂肪酸の話
セルライトをなくすためには、食事にも気をつけなくてはなりません。けれどいきなり厳しいルールを課すのではなく、まずは知ることから始めましょう。
まずは知って、その次に自分ができそうと思う簡単なことからスタートします。数日で効果が現れるものではないので、じっくり取り組まなくてはなりません。
けれども1ヶ月2ヶ月と経つうちに、身体に変化が現れ始めたらとても嬉しいと思います。そして自然ともっと食事に気をつけたいと思うようになります。不思議なもので、始めは小さな一歩でも効果が目に見えると始めはできなかったことでも、いとも簡単にできてしまうのです。
これは自然な成り行きです。だからこそ、始めのステップは小さく、無理のない1歩を踏み出すことがとても大事なのです。
目次
脂肪の話
脂肪は生きるために必要な栄養素の一つです。ですが脂肪を身体に溜め込みすぎると、肥満になり生活習慣病や動脈硬化などを引き起こす可能性が高まります。病気まで至らなくても、女性なら肥満やセルライトというだけで悩みますよね。
皮下脂肪の役割
脂肪は身体の中で、皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されます。内臓脂肪は比較的落としやすいのですが、セルライトの原因となっている皮下脂肪のほうが落としにくいのです。
やっかいな皮下脂肪ですが、実は皮下脂肪は大事な役割を持っているのです。
それは「クッション」。脂肪は身体が衝撃を受けた場合に、その衝撃を和らげて身体を守る働きをしてくれます。それ以外には炭水化物と同様、エネルギー源となります(内臓脂肪も同じ)。
しかも脂肪は炭水化物やタンパク質よりも、エネルギー効率がよいのです。たとえば飢餓状態に陥ったときには、脂肪が蓄えられていれば脂肪をエネルギーに変えて生き延びることができるのです。
実はコレ、痩せるためには絶対に知っておくべき重要な事実です。脂肪は危機に備えて蓄えられています。だからむやみに食事を抜いたりすると、身体が生命の危機を感じ、脂肪を溜め込む装置が働きます。
上手に痩せるためには、長い間空腹を感じさせないことと言われています。1食を少なめにして、1日3食以上食べるスレンダーな女性の話を聞いたことがありませんか?
もちろん、痩せるためには食べる回数や食べる量だけを考えればよいものではなく、栄養面にも気をつけなくてはならないし、代謝のことやその他いろいろなことを考えなくてはなりません。私も少しずつ勉強していきたいと思います。
脂質の構造
脂肪は脂質と呼ばれていて、単純脂質と複合脂質に分けられます。
単純脂質とはグリセロールに3つの脂肪酸がくっついたトリアシルグリセロール(トリグリセリド)です。単純脂質(=トリアシルグリセロール)は炭素(C)と酸素(O)と水素(H)で構成されていますが、複合脂質はその他の元素でも構成されていて、少し複雑な構造になります。
出典:脂質 | ウィキペディア
上図でジグザグの線で表された部分が脂肪酸で、炭素(C)と酸素(O)と水素(H)で構成されています。ジグザグが3つ、グリセロール(上図、緑の領域)にくっついているのがわかると思います。これが単純脂質の構造です。
皮下脂肪として蓄えられるのは、単純脂質であるトリアシルグリセロールです。中性脂肪と呼ばれているものは、トリアシルグリセロールのことです。
食品の中に含まれる脂質を食べると、どのように消化・吸収されて皮下脂肪として貯蔵されるのかについては、本サイトのセルライトができる原因にまとめています。
いろいろな脂肪酸
皮下脂肪に蓄えられているトリアシルグリセロールは上図の通り、グリセロールに3つの脂肪酸がくっついたものです。
この脂肪酸とは何かというと、炭素が長くつながったもので一番端っこにカルボン酸(COOH)というものがついている物質のことです。つながった炭素の数により、短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸(高級脂肪酸)と分類されています。
つまり脂肪酸には炭素の数や炭素のつながり方の違いにより、いろんな脂肪酸が存在します。物質の性質も大きく変わり、身体の中での役割も変わります。
健康な身体を保つために、現代の食生活では多く摂りすぎの傾向にある脂肪酸の摂取に注意を促したり、摂るべき脂肪酸を理想のバランスに近づけることが大事だと言われています。
ではどんな脂肪酸があるのか、見ていきましょう。
適度に摂ると良い脂質
脂肪酸は炭素と水素と酸素が長くつながった形をしています。そのつながり方により、脂肪酸の名前や分類が変わります。
身体に良いと言われている脂質は、中性脂肪を下げたり悪玉コレステロール(LDL)を下げたり善玉コレステロール(HDL)を上げたりしてくれます。それでも摂りすぎはよくありません。なんでも適度が大事ですので、注意しましょう。
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸とは、二重結合が1つだけある脂肪酸です。オレイン酸は一価の脂肪酸で、オリーブオイル、キャノーラオイル、カシュナッツ、ピーナッツ、アボカド、オリーブなどに多く含まれています。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、脂肪酸構造のCOOHの反対側にあるCH3をオメガ位と言いますが、そこから3番目に最初の二重結合がある脂肪酸です。n-3系不飽和脂肪酸とも呼ばれます。
αリノレン酸、DHA、EPAなどがオメガ3脂肪酸です。これらが多く含まれる食品は、えごま油、亜麻仁油、青魚、くるみ、緑黄色野菜、豆類などです。
オメガ6脂肪酸
オメガ6脂肪酸は、オメガ位が6番目のところに最初の二重結合がある脂肪酸です。n-6系負飽和脂肪酸とも呼ばれます。
リノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸がオメガ6脂肪酸の代表的な脂肪酸です。これらが多く含まれる食品は、とうもろこし油、ダイズ油などの植物油全般、アラキドン酸は魚油に多く含まれています。植物油に含まれているリノール酸は、現代の一般的な食事では摂りすぎと言われているので、意識して控えることが必要です。
オメガ3とオメガ6の摂取バランス
身体によい脂質といっても、たくさん摂ってよいわけではないので注意しましょう。オメガ6は欧米食に偏った生活をしていると、摂りすぎになるといわれています。
オメガ3とオメガ6摂取の割合は、理想はオメガ3:オメガ6=1:4ですが、洋食やファーストフーとが多いとオメガ3:オメガ6=1:10から1:40ほどにもなるそうです。特に和食ばかり好んで食べているというのでなければ、普段からオメガ6脂肪酸をできるだけとらないよう、植物油を控えめにすることを意識したほうがよさそうです。
摂りすぎ注意&避けたい脂質
摂りすぎに注意すべき脂質は意識してコントロールし、避けたほうがよい脂質は、選択できるなら摂らないほうを選びたいですね。また、どんな脂質が身体によくないか、どんな食品に多く含まれているかを知ることがとても大切です。すべてをコントロールすることはできなくても、コントロールできる部分を見極めて、きちんと自己管理していきたいところです。
摂りすぎに注意 飽和脂肪酸
飽和脂肪酸とは、脂肪酸の炭素鎖に二重結合、三重結合を有しないもののことをいいます。飽和脂肪酸は常温で固体です。そのため体内でも固まりやすく、摂りすぎると血液をドロドロにして動脈硬化などの生活習慣病の原因になります。
けれどもそれは「摂りすぎ」たときのことであり、飽和脂肪酸は化学的に安定した物質であり体内のエネルギー源として必要です。飽和脂肪酸の摂取が不足すると、血管がもろくなり脳出血などの危険性が高まります。普段の生活をしていると、飽和脂肪酸は摂りすぎの傾向にあるといわれているので、少し気をつけて摂取量を減らすほうへ意識を向けているとよいと思います。
飽和脂肪酸が多く含まれている食品は、バター、ラード、牛脂、ショートニング、マーガリン、生クリーム、チーズなどです。
飽和脂肪酸の中でも、ステアリン酸は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。牛脂、ラード、バターなどです。これらは摂り過ぎないよう注意すれば、必要以上に避けなくてもよさそうです。たとえばバターを我慢してマーガリンを使うよりは、量は控えめにしてバターを使ったほうがよいと私は思います。
避けたい脂肪 トランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)
不飽和脂肪酸には炭素の二重結合周りの構造が下の図のように違うものがあり、シス型とトランス型と呼んで区別しています。このうちトランス型の不飽和脂肪酸を「トランス脂肪酸」と呼んでいて、身体に良くない脂質とされています。
どんな食品にトランス脂肪酸が多い?
トランス脂肪酸を含むといわれている食品は、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングです。また、これらを原料にしたパン、ケーキ、ドーナツ、天ぷらなどにも含まれていますサラダ油など精製した植物油にも、微量のトランス脂肪酸が含まれています。
マーガリンとファットスプレッドの違いは?
「マーガリン類」の規格で呼び名が違います。油脂含有率が80%を超えるものがマーガリン、80%未満がファットスプレッドと呼ばれます。ファットスプレッドはマーガリンに比べて水分が多く柔らかいので、パンなどに塗りやすいです。果実やチョコレートなどの味をつけることも許されているのがファットスプレッド。カロリーはマーガリンよりも低いです。
なぜトランス脂肪酸ができるの?
融点の低い不飽和脂肪酸を多く含む脂を固くする目的で水素付加を行い、融点の高い飽和脂肪酸に変換する過程の副産物として、トランス脂肪酸が産生されます。また高温で油を精製する過程でも、トランス脂肪酸が生成されると言われています。
マーガリンは、植物油の融点を上げて固形化するために、水素付加されます。バターよりも柔らかいので使い勝手がよいですし、液体の脂に比べて劣化もしにくいといえますが、いいことばかりではないということですね。
天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型ですが、反芻動物(ウシやヒツジなど)体内の微生物の働きにより、乳や脂にはわずかですがトランス脂肪酸が含まれています。
トランス脂肪酸はなぜ悪いの?
トランス脂肪酸をとる量が多いと、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増えて、一方、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が減ることが報告されています。日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、少ない場合と比較して心臓病のリスクを高めることが示されています。
出典:すぐにわかるトランス脂肪酸 トランス脂肪酸が体に悪いって本当? | 農林水産省
コレステロール値が高くなり、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症などのリスクが高くなるのですね。
まとめ 正しい脂肪の摂り方
これまで脂肪の説明をしてきました。難しかったでしょうか?でもこれはほんの触りだけ。知ろうと思えばもっともっと深く掘り下げていくことができます。
スリムで健康な身体を維持するためには、そこまで知り尽くす必要はありませんが、おかしな健康法に騙されないように、食事に関して過剰な努力やストレスがかからないように、リーズナブル(=理にかなった)または現実的な考え方で食事の選択ができるようにしたいものです。
そこでこれはあくまで私の提案になりますが、私が考える「正しい脂肪の摂り方」について述べたいと思います。
バランスを考えた脂肪分の摂取を
まず知っておくべき事柄を下にまとめます。
- 脂肪は危機に備えたエネルギー貯蔵システム。食事が不規則だと身体が生命の危機を感じ、脂肪を溜め込む装置が働く。(=脂肪が溜まりやすい体質になる)
- 適度に摂るとよい脂肪酸は一価不飽和脂肪酸。その中でも摂取バランスの理想はオメガ3:オメガ6=1:4。
- 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸はできるだけ摂取を控える。
- 飽和脂肪酸は摂りすぎが問題であり、不足すると血管がもろくなり脳出血などの危険性が高まる。普通の食生活であれば不足の心配はない。
- 一日に摂取すべき脂質は、重さにするとおよそ55g(30-49歳の女性で計算)
上記を踏まえて考えてみると、まず脂質をむやみに嫌って食べないようにすることは間違っているのがわかります。30-49歳の女性だと、一日に約55gの脂質が必要です。
脂質を摂るとして、何から摂るかが問題です。結局のところ、悪と思われている飽和脂肪酸は、摂りすぎが問題なのであり、必要な栄養素なのです。
加工食品に注意
とはいえ、知らず知らずのうちに口に入る脂質は結構多いものです。たとえばパン、脂を使った加工食品(お菓子類、カレーやシチューなどのルー、カップ・袋ラーメン、レトルト食品など)です。
加工食品のほとんどすべてには、トランス脂肪酸が多く含まれていることを知りましょう。自然ではあまり存在しないトランス脂肪酸ですが、水素付加や加熱処理の際に生成します。
自然にはあまり存在しないということは、わざわざ好んで食べる必要がないということですね。けれども現代では加工食品は便利なので、よく使われています。
たとえば子どもはカレーが大好きですが、ルーから手づくりという家庭は非常に少ないと思います。市販のカレールーを使っているのではないでしょうか。
厳しすぎると続かない
私は身体に必要ないものだからといって、自分に厳しく制限をかける必要性はあまりないと思っています。厳しすぎると疲れるし、ストレスを感じて、結局長続きしないからです。
食事は生きている限り、ずっと続けていくものですから、あまり無理をするのはよくないと考えています。
脂肪を摂り過ぎないための知恵
ではどうするかといえば、自分がコントロールできる範囲ですればよいのです。
たとえば加工食品を使う頻度を減らす(段階的に減らすのがおすすめ)。おいしく簡単に調理できる料理のレシピを探しましょう。
お菓子類は過剰に脂肪を摂ってしまう原因になりますので、お菓子を食べてしまう人は、なぜ欲しくなるのかを考えましょう。
次の食事までにお腹が空いて、つい食べてしまうのであれば、食事内容を考えましょう。消化のよい炭水化物中心の食事だと、すぐにお腹が空いてしまうので、良質の脂質が摂れる食事を考えましょう。
どうしてもお菓子が食べたくなったときには、いつも我慢するのではなく、回数と量を減らしたり、代わりの健康的なお菓子を選んではいかがでしょうか。
ポイントは一気に食生活を変えてしまおうとするのではなく、できるところから変えていくことです。これが上手くいくと、もう少しできそうな気になってくるものです。そう思ったら、また一つ何か変えられそうなところを変えていくのです。
毎日口にするものが変化し始めると、味の好みも変わってきます。より健康的な味や食材を、身体が自然に求めてくるようになります。強い食事制限を課し、過度なストレスを感じることはマイナスになるので気をつけましょう。(注 病気で食事制限を要するときは別です。医師の指示に従いましょう。)
次の記事では、具体的にどんな食事内容にすれば間食を抑えられるか、良質の脂質が摂れる食材のうち簡単に口にできるものの紹介、健康的なお菓子の紹介、お菓子の減らし方などについて、まとめたいと思います。