いろんな家族の形、違いは恵み

子どもも私も絵本が大好きです。買った絵本もあるけれど、成長に伴い次々と新しいお話を聞きたがる子どものリクエストに応えるため、読む絵本のほとんどは図書館で借りています。今回は先日借りた絵本の中から、はっとさせられた絵本のレビューをします。

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目次

絵本なら子どもと一緒に楽しめる

今子どもは小学3年生です。9歳になったばかりですが、この年齢になると絵本だけではなく児童書も読めるようになりますね。わが子は児童書もマンガも読むのですが、やっぱり親子で読むのは絵本が多いです。それも最近はストーリーの複雑な絵本も楽しめるようになりました。この記事で紹介する絵本は、子どもと一緒に読みました。

私の趣味というか、ライフワークは英語の本を読むことなのです。特に英語の絵本が大好きです。だから子どもと図書館で借りる絵本を探していると、どうしても英語で読んだことがある絵本が目に留まります。「あ、これ読んだことある」と手に取ってパラパラめくっていると、ストーリーを思い出してぜひ子どもにも読んであげたいと思って借りて帰ります。

だからわが家で読む絵本は、日本が原作の絵本と外国(アメリカとは限らず)が原作の絵本が半々か、ちょっと日本が原作の絵本が少ないぐらいかもしれません。英語の絵本は2,500冊以上読んでいて、ちょっとした洋書オタクなのです。だから図書館にある絵本の中で、読んだことのある翻訳絵本をたくさん見つけることができます。

これは日本の絵本にはないテーマかも

そんな私が最近、図書館で借りてきた日本語に翻訳された絵本が面白かったので、記事にしようと思いました。ちょうど昨夜、子どもと一緒に読み終えたばかりです。タイトルは『ふたりママの家で』です。

著者はパトリシア・ポラッコ(Patricia Polacco)です。私の大好きな絵本作家のひとりです。とても考えさせられる難しいテーマで絵本を数多く創作しています。大人が英語の絵本を読む際に、あまりにも赤ちゃんっぽいのばかり読んでいると、やっぱりちょっと頭を使いたいし難しいテーマの読み物が欲しくなるのです。パトリシア・ポラッコの絵本は、そんな要求にピッタリです。

タイトルから想像つくでしょうか。お母さんが二人いる家庭です。そして子ども3人はみんな養子縁組をしてやってきました。表紙にある子どもの容姿を見ると、人種が違うことは一目瞭然。もうそこからして、私の心をつかみました。そして彼らの幸せそうな表情。字が多いので、子どもへの読み聞かせは2日に分けました。

テーマは「違い」(difference)です。この絵本では、お母さんが二人いる家庭であることが一般的な家族との「違い」として表現されています。大人の言葉で言えば、LGBTカップルの家族・社会問題ということでしょうか。(LGBT:レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーをはじめとするセクシュアルマイノリティの総称)

この絵本を読むとわかりますが、この家族のご近所には多種多様な人種が住んでいます。そういう「違い」も出てきます。ふたりママの3人の子どもだって、3人とも人種が違います。

違うことは間違いではない

みんなと違うことは間違いではない、というメッセージ性を持ったストーリーです。物語の語り手は、ふたりママの子ども3人のうちの一人です。その子は自分たち家族のことを、嬉しそうに誇らしげに楽し気に語ります。二人のママがどれほど自分たちに深い愛情を注いでくれたか、二人のママの親戚が集まりみんな仲良く笑いが絶えないこと、二人のママが自分たちを喜ばせるために楽しいイベントを作るのが上手だったこと、自分を含めて兄弟たちが家族の一員になったときのことなどを、生き生きと伝えます。

底抜けに明るいママたち、ご近所との関係も良好です。ママ二人が企画したご近所パーティは盛大に盛り上がり、各国のお料理や庭に用意した遊びなど、子どもたちは大喜びです。ところがご近所に一人だけ、彼らのことを快く思わない人がいました。あからさまに嫌な態度を見せ、パーティーには顔を見せず。終わりがけにやっと顔を見せたかと思うと、ママ二人に暴言を浴びせて帰っていく。

この心貧しい人を憎むどころか、哀れな人だと感じさせます。イラストが見せる表情と激しい口調は、複雑な事情を知らない子どもにも大人の愚かな行動を理解させてしまいます。大人は様々な事情を抱えて、事を難しくしてしまうけれど、この絵本は非常にシンプルに問題の本質を表現しています。

だから暴言を吐く人を哀れだと感じさせるのかもしれません。二人のママとの関係はそれ以前からずっと続いていて、ママたちの子どもたちにすら、悪い感情をぶつけてくるのです。それでもママたちは、子どもたちにそういう人にも常に礼儀正しくするように教えています。

ママが二人とか、血がつながってないとか、人種が違うとか、周りの多くの人とは違うことがあったとしても、それは間違っているわけではありません。「違う」というただそれだけ。それが自分のことなら自分の置かれた立場を一時的に嫌悪するのもわからなくはないけれど、周りに違う人がいることすら受け入れられないなんて、かわいそうな人。どうして?仲良くなったら、一緒に笑って楽しい時が過ごせるのに。

世の中にはこれに似たことがたくさんあり、そのためにたくさんの人が傷ついて嫌な思いをしています。もちろんこれは両者がです。嫌われる方も嫌う方も。考えが変わりさせすれば、すべてうまく行くはずなのに。人間って悲しいですね。

違いは恵み

この絵本の中には同性愛とか、それに類似した単語が出てきません。だからこの絵本を読みながら、そういうカップルである可能性もあるけれど、ただ事情があって女性ふたりで暮らしていると考えることもできます。でもその二人を嫌っている人が登場することで、「あー、そういうことか・・・」と大人は勘づくわけです。

けれども子どもは?多分わが子ぐらいの小3だと、まだわからないと思います。最後から2ページ目の最後の一文を読むと、ひょっとしたら子どもでもピンと来るのかもしれません。はっきりと表現しているのはその一文だけなのです。そこで大人は恐らく・・・という推測から確信に変わります。二人はレズビアンであるということを。

でも彼らの暮らしぶりを見ていると、そんなことはどうでもよくなるのです。そんなことは大したことではない。彼らは血のつながりのない家族だけれど、こんなにも硬い絆で結ばれて、お互いを思いやる家族なのだから。そういう単純な方程式がクリアにわかる、そんなストーリーでした。

著者であるパトリシア・ポラッコは、子ども時代にディスクレシアで苦労をしています。また祖母がウクライナ系移民で、ロシア語訛りの英語で話し、周りには様々な人種・宗教の人がいたそうです。また他とちょっと違う家庭環境で育つ子どもたちもたくさん見てきて感じたことは、違いは恵みであると受け止めることが大事ということだそうです。

周りと違う恵みを受けることで、他と違っていてもみんな同じなのだと理解することができるようになります。でも世の中にはそういう他とは「違う」環境に恵まれず、「恵み」が受けられずに育つ子どももいるとの思いから、この絵本を書いたそうです。

読み終えて、子どもに何か聞かれるかな?と思ったのですが、子どもは満足そうな顔をして眠りにつきました。わが子にはお互いが不幸になる色眼鏡をかけてほしくないです。だから親は色眼鏡で物事を見ないように、そしてそんなふるまいをしないようにしなくてはいけませんね。無意識レベルの思考であることが多いので、うわべだけでは通用しない問題でもあると思います。

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