がらくたには素晴らしい可能性がある

病気や障害で普通の学級に入れない子どもたちは「がらくた学級」に入ります。いじめにあいます。自分を卑下します。けれども担任の先生は、才能とは何かを経験を通して子どもたちに教えました。大人にこそ読んで欲しい絵本です。

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目次

がらくた学級の奇跡

子どもに読み聞かせした絵本のタイトルは『がらくた学級の奇跡』です。絵本ナビを見ると、対象年齢は小学校3-4年と書いていました。子どもは2年生ですが、読みました。対象年齢はあくまで目安なので、気にしていません。

確かに文字は多く、出て来る言葉も小学2年生には難しかったですが、4回に分けて読みました。子どもはちゃんと最後まで聞いてくれて、「今日はここまで。続きは明日ね。」と言うと残念そうにしていたり、あと1ページだけ読んで!ということもありました。

失読症(ディスレクシア)の少女

主人公の女の子トリシャは、失読症(ディスレクシア)で14歳になるまで字が上手く読めませんでした。絵本にはそこまで細かいことは書いていませんが、あとがきや著者名で検索してわかりました。

トリシャの両親は幼いころに離婚し、トリシャは母とカルフォルニアに住んでいました。学校では特別学級。字が上手く読めないことで普通学級の子からいじめられることがあり、それがとても嫌でした。

夏休みの間トリシャは父のいるミシガンで暮らします。あるとき、父にミシガンの学校へ通いたいと言い出しました。トリシャは頑張って字が読めるようになったばかりなので、以前の自分のことを知らない環境だと自分の病気のことを隠し通せると思ったからです。

願いが叶い、ミシガンの学校へ通えることになってとても幸せでした。新しい学校は私がおばかさんだったってこと、誰も知らないからいじめられたりしないだろうと思ったからです。

現実は厳しかった

初登校の前に、すでに新しい友達もできてトリシャは大喜びでした。学校に着いたとたんに、みんなは自分の教室へ入って行きました。

トリシャは教室の場所がわからず、近くにいた子に教室の名前を書いた紙を見せて聞いてみました。そこ子はなぜか変な顔をしながら、教室の場所を教えてくれました。実はその紙には特別学級と書かれていたのです。

がらくた学級とはどんなクラス?

がらくた学級とは、特別学級のことです。つまり病気や障害などを持った子どもたちの学級です。普通学級の子どもや先生までも「がらくた学級」と呼ぶのです。

字が読めなかった過去の自分のことを知らない学校へ行ったら、誰にもいじめられずに済むと思っていたトリシャの期待はそこで砕けてしまいました。

教室に入ると、実に個性的な子どもたちがいました。すぐに仲良くなれたのが救いでした。それでも一歩教室から出ると、普通学級の子から「ばーか」と言われてしまうのです。とても悲しいことですね。

がらくたは宝

担任のピーターソン先生は見た目不愛想なのですが、実際はそうではありませんでした。初日に教室に入るなり、あいさつもなしにいきなり辞書を開き、「才能とは」と読み始めたのです。そしてその内容を子どもたちに書かせて、毎日見える場所に貼って暗記するように言いました。それはあなた達自身のことだから!と言うのです。

このピーターソン先生も素敵ですが、がらくた学級の子どもの親もまた素晴らしく、子どもたちにいろんな経験をさせてくれました。

がらくた学級と言われ、普通学級の子どもからいじめられてみんなショックを受けてしまいます。「僕たちはどうせがらくたなんだ」「くずなんだ」「誰も欲しがらないものなんだ」と口々に言うと、先生はこう言いました。

「あなた方はみんな私の宝」「がらくた置き場が本当はどんなところか、気づいてないの?」「すばらしい可能性に満ちた場所なのよ!」

そう言って、ピーターソン先生は子どもたちをがらくた置き場に連れていきます。半信半疑で先生の後についていく子どもたち。がらくたの中から本当に可能性に満ちたものを見つけられるのでしょうか。

才能はもともと誰もが持っている

がらくた学級の子どもたちはいじめられ、自分自身のことも「ばか」「無能」などと思い込み、委縮していました。けれどもがらくたの山へ行った時から、自分たちのことをわかっていない人からの評価なんて気にしなくなります。そんなことを気にするよりも、自分たちの中にある才能へ意識を向けよう!そう気がついたのです。

仲間と協力、信頼し合うこと、知恵を出し合うこと、子どもたちが可能性に目を向けられるようになりました。

続きは読んでのお楽しみ

子どもに読み聞かせをしながら、何度も喉の奥が詰まった感じになって、声が出なくなるほどに感動しました。素晴らしい先生、素晴らしい友情、障害や病気を乗り越えて協力しあうことで、彼らは非常に大切なことを学んだのでしょう。

実はこの絵本、自伝的作品なのです。絵本のお話が終わったら、ぜひ作者のあとがきも読んでみてください。あの奇跡の経験をしたがらくた学級の子どもたちが、どんな素晴らしい大人に成長したかがわかります。

それだけではありません。長い月日が流れ、著者ががらくた学級の男友達に再会します。そのときに彼はあり得ないほど感動的なエピソードを話してくれたのです。当時は誰にも気づかれず、彼はクラス全員の夢を叶える、神聖なる儀式とも言えることをしていたのでした。それを読んで私はもう、ただただ涙でした。

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