セルライト化粧品の効果 1. 落とし穴に注意

セルライトをなくす類の化粧品が販売されているけど、本当に効果あるの?って思いませんか?元化粧品技術者が、ぶっちゃけ話をしましょう。

化粧品の研究開発に関わる10年の間、処方設計、成分分析、コンセプト作り、消費者テスト、パッケージ開発までを経験した当サイト管理人Amyが、セルライト対策用とされる化粧品を評価します。どこからもお金をもらってないので(笑)、中立公正な立場で率直な意見を述べたいと思います!

何回かに分けて、総論的なお話をしていきます。その後、各論的な記事を書いていきたいと思います。第1回目は、そもそも化粧品って何ぞや。何をしてくれるものなのかというのを、様々な角度から解説します。

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目次

セルライト化粧品やスリミング剤の製品説明に書いてある効果の実態は?

そもそもセルライト対策の化粧品って、本当に効果あるの?というところですが、インターネットで「スリミング剤」と検索すると、たくさんの情報が出てきます。

スリミング剤として、脂肪燃焼を促進するカフェイン、カルニチンや、肌の引き締め成分として様々な植物成分が配合されています。

まずはじめに核心に触れますが、製品説明に書かれている効果のほとんどは、原料の由来や効果であって、化粧品そのものの効果を保証したものではないことがほとんどです。

そのトリックをきちんと見破り、化粧品の効果を適切に自分である程度判断できれば、過大な期待や妄想(?)により、後でがっかりすることがないと思います。トリック?ん?どういうこと?と思われたかもしれませんが、これから詳しく解説していきます。

大事なことは過度の期待をせず、使う化粧品に期待できる妥当な効果を認識することだと思います。その上で目的を果たすために、何が必要かを考えることでしょう。具体的には化粧品だけに頼らずに、食生活や運動などの日々の生活習慣も考え直すということです。

化粧品の成分と製品説明の落とし穴

あまりネガティブな言い方をしたくないですね。化粧品のマジック(魔法)<トリックともいう 笑>と言い換えておきましょうか。

確かに化粧品業界では、原料メーカーが研究を重ねて画期的な新原料の開発を進めています。そしてIn Vitro、In Vivo*での効果の検証を試み、実際に原料の製品パンフレットには、魅力的な効果を示したデータが載っています。

*:In Vitroとは試験管内で行う試験、In Vivoとは生体を使って行う試験。In Vitroは試験の条件がすべてコントロールされた中で行われるが、In Vivoは試験条件のすべてが人為的にコントロールされない状況下で行われる。要するに試験管内で行うIn Vitroよりも、In Vivoのほうが実際の使用条件に近いといえます。「近い」だけであって、同じわけではありません。

(みんなの健康・安全を守ってくれる)法的観点から

問題は原料では効果の検証を行っていても、最終製品(化粧品)では必ずしも行っていないということです。「こんな効果のある原料を使っています」ということを宣伝はしますが、原料の段階で行ったような効果を科学的に裏付けるまでのデータ取りは普通はしません。なぜなら化粧品を販売するに当たり、そのような法的義務がないからです。

なぜ法的義務がないかは、医薬品医療機器法(旧薬事法)において定義*されている化粧品の性質上、当然のことと理解されています。

*医薬品医療機器法 化粧品の定義(第2条3項):この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化 し、魅力を増し 、容貌ぼうを変え 、又は 皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

つまり化粧品とは身体を美しく清潔に保ち、作用が緩和なものをいうのであって、しみを消したりシワをなくしたりセルライトをなくすような「緩和とはいえない」細胞レベルに直接何かしかけるような、積極的な作用ともいえる効果を持たせてはいけないという風に理解されています。もっと砕けたいいかたをすると、「治す」効果を化粧品に持たせることはできないと、法律で規定されているのです。安全性の観点からも、医薬品とは明確に線引きがされていなくてはならないのです。

技術的・実務的観点から

仮に原料メーカーが「この原料を5%配合したものを1日2回塗布を2ヶ月続けると、太ももの周囲が2cm減少した」とか「脂肪の容積で100cm³減少した」というデータを持っていたとします。けれども最終製品である化粧品に、何%配合するかは化粧品メーカー次第ですし、たとえ実験で効果ありとされたのと同じ配合量にしたとしても、同じ効果を示すかはわかりません。その他の配合成分の影響や剤型とその品質によっても効果が変わる可能性があるからです。

通常は原価との兼ね合いで、高価な原料をふんだんに配合できないのです。さらに化粧品の広告、パッケージ、商品説明の文言は何でも書いてよいわけではなく、医薬品医療機器法(旧薬事法)で定められた化粧品の定義を逸脱しないための規制があるのです。

 過去に輸入化粧品の製品説明等を翻訳していたことがありますが、高機能を売り物にしている化粧品のほとんどは、和訳した内容・表現は日本の市場ではNGなものばかり。せっかくの魅力ある宣伝文句を日本では使えないということです。
 今回インターネット検索をしていたら、海外メーカーの製品説明を和訳したものをそのまま掲載していると思われるサイトや、原文の製品説明が元となっている情報だなと思われるサイトをいくつか見つけました。つまり、はっきり言えば医薬品医療機器法逸脱の可能性が極めて高い商品説明を掲載しているサイトということです。
 うーん、それにしてもすっきりしない。法から外れることと効果は別なんじゃない?と。そう、その通り。けれども本当に効果があるかも不明というのが現実。通常消費者の手には渡らないような、内部資料としての製品説明を見ても、科学的に効果があると納得できるデータがないことがほとんどですから。

次回は化粧品を塗布すると成分は肌に入るのかという話をしましょう。肌に入らなくては効果が得られませんから、今度はその視点でまとめてみます。

セルライト化粧品第2回、記事書き上げました。
セルライト化粧品の効果 2. 肌への浸透性

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