子どもが集中できる 読み聞かせのコツ
絵本を読み聞かせているときは、子どもに絵本に集中して欲しいですよね。
もしも今、子どもの集中力がいまひとつと思っていらっしゃる方がいれば、参考にしていただければと思います。
目次
絵本を読む環境づくり
大人でも「今、そんな気分じゃない」ということがあると思います。子どもも同じだと思います。大好きな遊びに熱中しているときに、絵本を持ち出してきても聞いてはくれないでしょう。
ではどうすればよいのでしょうか。私が考える絵本に集中できる環境づくりについて、説明します。
落ち着かせてから読むのではなく、落ち着いているときに読む
集団でいる子どもたちの前で読み聞かせるのではなく、家でお母さんが子どもに読み聞かせる場合を想定しています。
自分の子どものことですから、家で過ごしているときの行動パターンは、だいたい把握していると思います。それをうまく利用して、時を見計らって絵本を読むのがよいと思います。子どもの行動をコントロールしようとすると、うまく行かないことが多いかもしれません。
たとえばわが家の場合、まだ毎日決まったときに絵本の読み聞かせをする習慣がなかったとき、いつ読むかというのが問題でした。うかうかしていたら、1日なんてあっという間に終わってしまい、「あ~あ、今日は1冊も読めなかったな」ということが多々ありました。
なんとかせねばと思って、いつなら子どもは落ち着いて絵本に集中してくれるかを考えてみました。わが家の場合、それは就寝前でした。
子どもが4歳ぐらいだったと思います。初めは就寝前に1冊だけ絵本を読んで、その後添い寝して寝かしつけていました。それからは毎日1冊は絵本を読む時間が確保できましたし、子どもも後は寝るだけの状態になり、絵本しか見るものがないからか、集中して聞いてくれました。日中は働いていて、子どもを保育園に預けていたし、夕方からは夕食の準備や食べさせること、後片付けなどで忙しく、子どもにとっては眠る前の絵本タイムが、ゆっくりとお母さんのそばにいられる時間だと感じていたのかもしれません。
徐々に広げていく
絵本と楽しく関われる接点を一つでも持つことができたら、後は決して無理強いをせずに気長に絵本と関わる時間を増やしてみることです。
わが家の場合は、就寝前の他に見つけた絵本タイムは夕食後でした。うちの子は夕食が済むと、だいたおやつを食べたがります。食べさせすぎないためにも、おやつの量または時間で制限をかけます。時が来たらさっと切り替えて、絵本タイムへ移行。わが家では夕食後の時間がゆったりと落ち着いていたから、うまく行きました。
実を言うと、私はゆったりはしていませんでしたが。なぜなら食事の後片付けを早く済ませたかったから。元々は子どもがおやつを食べている間に、夕食の片づけを済ますのが私のやり方でした。そうしたら私が楽だったからです。でもそこはこだわりを捨てて、後片付けは子どもが寝てからと決めました。すると少しですが、ゆったりとした時間が生まれました。
このようにして、なんとか工夫したり考えを変えたりして、時間をやりくりしなくては、いつまでたっても「そんな余裕が無い」と言わなくてはなりません。何を最優先に考えるかですね。優先順位は時と場所で変わるものですから、いつも自分を後回しにすることもないのです。すべてはバランスですね。私の場合、夕食後は子どもとの時間を最優先することに決めたことで、絵本タイムを持つことができました。
生活スタイルは人それぞれなので、夕食後を強く勧めるつもりはありません。各ご家庭によって、ふさわしい時間帯があると思います。
一つ設けた絵本との接点から、いかに広げていくかですが、わが家のケースを一つの例としてご紹介します。
4歳ごろから就寝前の絵本の読み聞かせの習慣づけを始め、就寝前に読む絵本が1冊から2冊、3冊へと増えていきました。小学校1年(6歳)の夏休みに食後を絵本タイムとし、子どもの寝つきがあまりにもいいために、その後就寝前の絵本は1-2冊に落ち着きました。1年経った今でも夕食後と就寝前の読み聞かせは続いています。
今では子どもは食後に絵本を読むことが当たり前と思っていて、おやつが終わると自分で絵本を選んで持ってきます。私も選びたいので、平等に何冊かずつ選ぶようにしています。自分も読みたい本を選ぶというのは、意外と大事です。読み手が楽しんでいなければ、聞き手も楽しめませんから。
無理強いは禁物
子どもの気分は毎日同じではないし、イベントなどで通常とは違う日もあるでしょう。子どもだってクタクタに疲れて、絵本を聞くどころではないこともあります。どうも今日は無理そうだなと思ったら、すぱっとあきらめることも大切です。
私は子育てにおいて、習慣づけや規則正しい生活リズムを作ることをとても大事にしていますが、ダメなときはダメ。うまく行かないので無理強いはやめましょう。それよりも早く寝て、疲れを取るほうがよっぽどいいと思います。
読み聞かせを工夫する
子どもが集中して絵本を見てくれない、読み聞かせを聞いてくれないと思ったときには、どうすればこちらに注意を向けてくれるか、集中してくれるかを考えて読み聞かせを工夫しましょう。私がしたことのある方法をいくつか紹介します。このほかにもたくさんあるはずです。
このコーナーも子どもと1対1あるいは数人対1を想定しています。
表現豊かに読んでみる
読み手は役者になりましょう。読む人が絵本の中に入り込み、声色や表情を変えて臨場感を演出します。私は子どもの頃から演技が好きでした。今でも好きなので、すごく楽しいです。
絵本の読み聞かせの手引きには、声色を変えないとか、動きや表情は控えめにというようなことが書かれています。絵本から受ける印象は人それぞれだから、読み手が感情移入して表現した世界を、子どもに押し付けることのないようにするためと思われます。子どもの想像の妨げになるとも書かれています。
けれどもそれは、基本のやり方にすぎません。基本のやり方には背後に根拠があってのことだと思います。でも実際相手にするのは機械ではなく人間ですし、読み手も人間です。基本は基本として、一度は理解し頭に入れた上で、必要とあらば臨機応変に対応を変えてしかるべきだと私は考えています。
今はどのように子どもに絵本に集中してもらうかというトピックなので、子どもの注意を引ければ成功です。びっくりするシーンでは、本当にびっくりした顔をするとか、声のボリュームを上げていいと思います。それも子どもの反応を見ながらですね。子どもがくいついてきたらしめたものです。読み手と聞き手とが一緒になって楽しめる最高の時になります。
子どもの興味を引く絵本を選ぶ
毎日一緒にいる子どもですから、今どんなことに興味を持っているのか、新しく覚えた言葉や好きな言葉、好きな遊びや乗り物や動物など、わかっていると思います。多くの子どもが良くも悪くも強い反応を示してくるのは、うんちネタやおばけの話ですね。
一緒に図書館の絵本コーナーへ行き、子どもに自由に絵本を選ばせて見るとだいたい好みの絵本がわかります。それらを中心に読んであげるといいですね。けれどそれだけでは不十分だと私は考えます。
子どもに限らず人は誰でも、知らないことについて、興味を持つことは難しいものです。子どもは見たことのある、なじみのあるイラストの絵本を選ぶと思います。ときには「これ何かな~」という冒険心で、新しいジャンルの開拓をすることもあると思います。
けれども新しいジャンルの開拓は、子ども任せではなく、時には大人の助けも少しあったほうがいいと思います。子どもの好みや発育度合いを把握した上で、今までとは違う絵本を選んで子どもに見せてあげると良いでしょう。子どもが気に入ったら、好きな絵本が増えていきます。もちろん、成長とともに好みは変わるので、どんどん開拓していかないと、いくら子どもとはいえ飽き飽きしてくるかもしれません。
図書館の絵本コーナーへ行ったら宝探しをする気分で、子どもの気に入りそうな絵本を探すのも楽しいかもしれません。子どもの好みにばっちりハマったら、とても嬉しいですよ。
わが家の子どもは小2ですが、1歳のときからずっと言葉の発達の遅れを指摘され続けてきましたので、本当にゆっくりペースで言葉に触れてきました。成長に合わせて読み方や選ぶ本を変えると、子どもの興味がどんどん引き出されると思います。わが家では、少しずつ絵本から簡単な児童書へ移行しています。10冊絵本を読んだら1冊児童書ぐらいのペースです。
文字の少ない絵本から多い絵本へ、絵本から児童書へ、レベルアップするときには、子どもが大好きなネタから入っていくと受け入れてもらいやすいです。たとえばわが家は児童書デビューしましたが、文字の大きさや量はもちろん、わが子が好きな恐竜、おばけ、宝探し、なぞときなどをテーマにしたものから読み始めています。今のところ、私が選んだ児童書はすべて気に入ってくれているようです。ずっとやっていると、ハズレのときもありますので、そんなときはあまり気にせずに別の本を手に取ればよいと思います。
歌える絵本 歌い聞かせを楽しもう
絵本の中には、途中歌が入っているものや、始めから終わりまで歌いながら進められる絵本があります。気分を変えるのに、ときどき選んでみると楽しいです。
探せばいろいろ出てきますので、ここではわが子も小学校での読み聞かせでも、みんなとても気に入ってくれた絵本を紹介します。
歌いながらページをめくる絵本
『ねこのピート だいすきなよっつのボタン』。私が小学校1年生の2クラスに、この絵本を読み聞かせしたことがあります。2クラスは別々に読んだのですが、いずれのクラスでも大好評でした。その子たちが2年生になっても、私を見ると、またねこのピートを読んでほしいと言われます。
わが子ももちろん大好きです。絵本の中で歌を歌うと、子どもたちはすぐに覚えて、途中から一緒に歌ってくれます。とても楽しいです。
『ねこのピート』はシリーズで何冊か出版されています。同シリーズはすべてYouTubeで見ることができるので、歌も覚えられます。
ところで私はこのねこのピートシリーズ、英語の絵本で知りました。個人的には英語で聞くほうが私は好きです。日本語と英語、かなり印象が違うのですが、どうでしょう?YouTubeで聞き比べてみてください。日本語も英語も、絵本のタイトルで検索すると出てきます。英語のタイトルは『Pete the Cat and His Four Groovy Buttons』です。
少し対象年齢は下がりますが、日本人が書いた絵本もあります。せなけいこさん、有名ですよね。『お化けなんてないさ』。
子どもはお化けを怖がるけど、せなけいこさんのおばけの絵本は見たがる子が多いですよね。歌もほとんどの人が知っていると思います。私は子どもの頃、よく歌いました。こちらもYouTubeに動画があります。
子どもが何を求めているのか考える
大人は子どもの発育に良かれと思って、絵本を読み聞かせていたり、コミュニケーションの一つとして絵本の読み聞かせを取り入れたりしていると思います。
では子どもは何を求めているのでしょうか?子どもは大人と同じ気持ちで絵本に向かっているのではないことは確かですよね。もしかするとお母さん(お父さん)のひざの上に座って落ち着きたいのかも?とか、淡々と読み上げられるのを聞くのが退屈なのかも?読み終えた後の質問攻撃がいやなのかも?反対に、本を読み終えた後の会話が欲しいのかも?などなど。
私がわが子と絵本の読み聞かせを続ける中で、子どもは絵本を通して私との対話を含むやりとりを楽しみにしているのではと感じています。小さいころは絵本を開くと、ひざの上に座るのが好きでした。今は横に並んで座り、本を読みつつ時には脱線もあり、一緒に笑い、感想を言い合ったりすることもあります。教育としての絵本タイムというよりも、親子の触れ合いタイムです。
学校の宿題やお勉強の中で、子どもが苦手とする部分を私が解説するのを聞くときとは全く違い、生き生きした目で私が読む言葉を聞いてくれます。お勉強とは違う、知的な活動?言葉の発達に伴って、人間は複雑で抽象的な思考ができるので、絵本でたくさんの言葉に触れることはいいことだと思います。けれども子どもの興味がそこになければ、子どもにとって意味の無い言葉の羅列と同じになってしまいます。そうはいっても、全く無駄になるわけではないと思いますが、苦痛を伴う絵本タイムって、両者ともにいやですよね。そんなの、長続きしないでしょう。
子どもがまだ小さいうち、積極的に本を読むまたは話を聞く姿勢が身につくまでは、楽しく過ごすことを第一に考えて絵本を選び、どんな読み方をするかを考えるとよいのではないでしょうか。
読み手の大人が疲れたときは
子どもが一日に何十冊も読んで欲しがったり、同じ絵本を何十回と読まされて、もう疲れた・・・とつぶやくお母さん。疲れる、飽きるのは仕方がないことです。
でも子どもは繰り返し同じ絵本を読みたがったり、一日中絵本を読みたがる子もいます。せっかく本が好きになってくれているのに、台無しにはしたくない。ではどうすればいいのでしょう。
読む目的を探す
子どものためだけに読むとなると、疲れるのは当然な気がします。自分も楽しめれば、かなり疲労も軽減されるのではないでしょうか。
同じ本を何度も繰り返し読まされることに辟易しているのなら、読んでいるときに録画をしてみては?もしかすると子どもは再生動画を見て、喜ぶかもしれません。
でもそれだけではつまらないから自分もその動画を見て、今度はこうやって読んでみよう!など次に読むときの小さな目標を持って読んでみると、ちょっとした緊張感も持てて楽しいかもしれません。
または録画するときに読み方をいろいろ変えてみて、子どもの反応の違いを見てみるのも面白いかもしれません。
全く違った方法ですが、絵本を読みながら子どもの反応を観察して楽しむというのも一つです。何十回も繰り返し読んでとせがむ子どもは未就学児までが多いと思うので、読む絵本も簡単なはず。大人は何十回も読むうちに、ほぼ内容を覚えてしまいます。文字を目で追わなくても読めるような絵本だと、そういうこともできそうです。
量より質をとる(読む冊数を減らす)
小学生になったら、読む絵本の文字数が増えてくるので、絵本によっては1冊読み通すだけで結構疲れます。
そんなときは、読む冊数を思い切って減らしてみるのも手です。そのかわりに1冊をじっくりゆっくり読んでいくのも良いものです。一つのシーンについて、子どもが何か語りだしたら、それを聞いて会話を発展させる余裕もできます。
絵本の読み聞かせのときに、子ども主体で話させてもいいの?という疑問があるかと思います。日本での絵本の読み聞かせといえば、じっと座って聞くことを子どもに求めていたり、途中で話を中断するような発言を控えるような指導をされることがあると思います。けれどもアメリカではダイアロジックリーディングという手法があり、読み聞かせしながら子どもに発言を促すことで、言葉や表現力を伸ばすのに効果的と考えられ、研究されているようです。これに関しては、後日記事を書きたいと思います。
1冊にじっくり時間をかけると退屈してしまう場合は、長いお話しの絵本を何回かに分けて読んでもいいと思います。短い絵本を数冊と、長い絵本の途中までを読むのです。次の日はまた新しい絵本と昨日の続きの絵本を読むという方法もあります。
子どもに読んでもらう
小学校の低学年からは、お母さんと交代で1冊の絵本を読むことも可能ですね。短い絵本なら、子どもに好きな絵本を選んでもらい、それを1冊読んでもらうのもいいと思います。その場合には、お母さんはしっかり聞いてあげてください。
文字が多い絵本で、子どもには1冊読み通せないようであれば、1ページずつ交代で読むといいですね。
わが子は本読みが苦手でした。なかなか自分で声を出して読もうとはしませんでしたが、興味のある絵本があると「ボクが読んでみる」と言うようになりました。
無理強いは禁物です。自分から読みたいというまでは、無理に読ませないほうが良いと思います。読んでみようと思えるような楽しい仕掛けというか企みを持つのは自由です。それに乗るか乗らないかは、完全に子どもの意思にゆだねるべきでしょう。
私は疲労がピークに達して、声を出して読んでいるにも関わらず、自分でも知らない間に寝ていることが度々あります。子どもはしばらくじっと待っているのですが、いよいよ見かねて「ママ、ここからはボクが読んであげるね^^」と言ってくれることが何度もありました。
子どもに読んでもらう機会を作ることで、子どものひとり読みへの道も開けてくるかと思います。いずれ子どもは自分で読むようにならなくてはなりませんから。