子どもが絵本の読み聞かせを聞いてくれないときは

絵本の読み聞かせをしても、子どもが興味を示してくれない、他の遊びを始めてしまい、聞いてくれない見てくれないという状態になると、どうすればよいのでしょうか。聞いたことのある対処法や、私が実践したこと、その結果などをまとめてみたいと思います。

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目次

絵本の読み聞かせは何のため?

まずはなぜ絵本を読み聞かせるのかについて、考えてみましょう。多くのお父さんお母さんは、絵本がもたらしてくれる子どもへの良い影響を、少なからず考えていることと思います。絵本がもたらしてくれる子どもへの良い影響って?と思われた方は、以前書いた記事を参照してください。下記リンク記事です。

link絵本が良い理由

でも、子どもへの絵本読み聞かせをうまく進めていくためには、絵本が子どもに良いと言われているからという動機だけでいいのでしょうか。私は以下のように考えます。

絵本はコミュニケーションとスキンシップのツール

読み手が「こんな子どもの絵本、面白くないわ。でも、子どものためだから読むわ。」と考えているのと、「この絵本、面白いわぁ~」と思って読むのとで、子どもの反応は変わるのではないかと思います。

子どもは親を見ています。親の言うことは聞かないけれど、親のすることは真似ると言われますよね。まったくそのとおりだと思います。もっとも言葉を理解し始める前だと、親の言っていることなんてわかっていませんが。それでも親のすることをずーっと、赤ちゃんの時から見ているのです。

私の考える絵本とは、子どもの発育には欠かせないものとは思いますが、それ以前に子どもとのコミュニケーション、スキンシップそのものであると考えています。そして親や大人が楽しそうに絵本を読む姿を見ているうちに、時期が来たら子どもも絵本に興味を示してくると思います。

私が考える「絵本の読み聞かせは何のため?」は、一つめが子どもとのコミュニケーションとスキンシップのため。二つめが子どもの発育を促すためです。

大人も楽しめる絵本

絵本の裏表紙あたりには、対象年齢が書いています。では大人が真面目に自分のために読むと、おかしいのでしょうか?この対象年齢は、厚生労働省が示している「保育所保育指針」の中に記されている「発達段階区分」にもとづき、出版社が独自に決めているのです。この発達段階区分に対して厚生労働省は保育所保育指針の中で、この区分はあくまで目安であり、発達の進度は個人によりことなるものであると明記しています。詳しくは本ブログの下記リンク記事を参照ください。

link絵本の対象年齢は意識する?

結論から言うと、絵本は子どものためだけの本ではありません。ノンフィクション作家の柳田邦男さんが、御著書『雨の降る日は考える日にしよう ([絵本は人生に三度]手帖Ⅰ) 』や講演会で、「絵本は子どもだけのものではない。大人こそ絵本を」とおっしゃっています。また、柳田邦男さんと谷川俊太郎さんの対談では

「絵本は子どもだけのものじゃない。大人の心に潤いを与え、生きる上で大切なことを気付かせてくれるんです」

と主張されています。link対談/柳田邦男氏&谷川俊太郎氏 心の豊かさを耕すために ~いま、大人にすすめる絵本~

自分のために読んでみるとわかる

子どものためではなく、まずは自分のために絵本を開いて読んでみましょう。たくさん読んでいくうちに、絵本は子どもだけのものじゃないとわかってくると思います。私は絵本で感動して何度も泣いたことがあります。心が痛んだことも、忘れていた心を思い出したこともあります。

私は子どもが生まれる前、絵本なんて子どもが読むものだと思っていました。けれども英語の学習のために開いた英語の絵本がきっかけで絵本が好きになり、初めは英語の絵本をたくさん読んで、ついには日本語の絵本も読むようになりました。英語の絵本をたくさん読むうちに、絵本は子どもだけの読み物ではなく、人生が凝縮されたものなのだと理解できました。

同じ絵本を読んでも子どもの感じ方と大人の感じ方は違います。それは大人が人生経験を積んで、絵本のストーリーの裏にある思いまで汲み取れたり、自分の経験と重ねたりするからだと思います。赤ちゃんや子どもにはまだそれがない。けれども絵本のすごいところは、子どもは子どもの、大人は大人の楽しみ方ができるところです。

柳田さんの「絵本は人生に3度」という言葉には、赤ちゃん・子どものときに読む絵本、親になったときに読む絵本、おじいちゃんおばあちゃんになったときに読む絵本、1冊の絵本でも読む時期により感じ方、楽しみ方が変わるという思いが込められていると思います。自分の立ち位置が変わると、同じ絵本を読んでも感じ方が変わる。言葉の裏に隠れて見えなかったことも、いろんな経験をするうちに見えるようになってくるのでしょう。

そんな風に絵本を楽しめるようになると、子どもへの絵本の読み聞かせが変わってくると思います。子どものためだけに読むとなると、子どもが聞いてくれないときや忙しいときには、思うように事が運ばないとついイライラしてしまいます。そんなイライラを子どもが感じて、絵本でいい思いをしたことがないと、子どもは絵本を嫌いになるかもしれません。

子どもが読み聞かせを聞いてくれないときは

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自分自身に向けて読んじゃおう

まずは上記で述べたように、読み聞かせしようとする本人が絵本を楽しんでいるか、好きかどうかを考えてみましょう。「うーん、あんまり好きじゃないな」という場合は、今すぐ好きになれといっても無理なので、ちょっと読んでみようという気持ちで自分に向けて読んでみてはいかがでしょうか。子どもに聞いてもらうというよりはハードルが低くなります。それに聞きたがらない子どもに「聞きなさいよ」と言っても聞いてはくれません。子どものほうから来てくれるのを辛抱強く待つしかないでしょう。無理に聞かせようとすると、絵本嫌いな子どもになってしまうかもしれません。

「絵本を読んだら子どもは聞いてくれるはず」という幻想は抱かないほうがよいと思います。子どもはそのとき興味を持てなければ、見ても聞いてもくれません。イライラしても仕方がないので、自分のために読むつもりで声を出して読むうちに「あ、これ楽しいな」と感じることがあるかもしれません。また、楽しそうに読んでいる大人を見て、子どものほうから寄ってくるかもしれません。人は誰でも、誰かが熱心に何かしていると、気になるものだと思いませんか?「何してるの?」なんて言って、覗き込んだりしませんか?

背中で聞いているかもしれない

こんなことを聞いたこともあります。子どもはじっと座って絵本を見ていなくて、背を向けて他の遊びをしていても、声だけはちゃんと聞いていると。だから子どもが背を向けてあっちへ行ってしまっても、読むのをやめないでという保育園の先生。真偽のほどはわかりませんが、実際に保育園でいつも絵本の読み聞かせをじっとして聞かない子がいたのかもしれません。でも声だけは聞いている様子で、そのうちに興味が出てきたらみんなと一緒に聞くようになったということがあったのかもしれません。

我が家の場合

我が家は子どもが絵本の読み聞かせを聞いてくれなくて困ったという経験はありませんでした。けれどもまだ赤ちゃんだったころは、読んでも言葉の意味はわからないわけで、ただ見ているだけです。ちゃんと聞いてくれているのかもわかりませんでした。ただ、読んで、見せて。毎日それの繰り返し。読んでいる途中で絵本を奪ってしまうことがあったし、読み終わっていないのにページをめくろうとしたこともありました。絵本を持ち歩いて齧ってぽいっとすることもありました。

赤ちゃんの頃は、したいようにさせていました。読んでいる途中で奪われて、そのまま終わったこともありましたが気にしませんでした。赤ちゃんが本を齧っているのを見て、「あ、そうか、齧ったりするから赤ちゃん向けはボードブックが多いんだろうな」とか「この本の角が丸いのは、赤ちゃんの口の中が切れないように優しい形になっているんだな」などと思ったものです。

わが子は言葉が遅いほうでした。けれども2歳ぐらいになると、保育園でも家でも、絵本を読むと喜びました。個人差が大きいので、一概に「こうしたからこうなった」ということは誰にでもあてはまるものではないと思いますが、わが家では0-1歳のときは、触れて遊べる絵本や仕掛け絵本を多く読んであげました。

1歳を過ぎて、初めてストーリーのある絵本を買いました。子どもが好きな電車が出てくるお話です。タイトルは『コトコトでんしゃ』。まだ言葉も話せなかったとき、毎日何回も何回も読んでとせがまれて、何十回、何百回と読みました。すると「カーンカーンカーンカーン」という踏み切りの音を一緒に言えるようになりました。とてもうれしかったのを覚えています。「うしさんがないています」というところがあって、泣き声で「もー」「もー」と書いているのですが、そこはいつも子どもの耳元で「もー」というと、こそばがって喜んでいました。声のトーンは楽しくなるように工夫して読み、毎回同じ読み方をしました。今思い返せば、それがよかったような気がします。子どもが覚えやすいからです。平坦に読むよりも、ページごと、シーンに合わせて声のトーンやスピードを変えて読むと、とても喜んで聞いてくれました。

小さいうちは繰り返しを好むのだなということも、絵本を通じて知りました。決まったシーンで決まった読み方をすると、子どもは「待ってました!」とばかりに喜ぶのです。そのように楽しみながら、何年か過ごしていました。小さいころは何を読むかよりも、どう読むかを考えていたように思います。

上で紹介した『コトコトでんしゃ』は、子どもが6歳になってすぐぐらいに、初めて子どもが私に読み聞かせてくれた絵本でした。「もー」「もー」というところは、私が赤ちゃんだった子どもにしたように、私の耳元で言ってくれました。くすぐったかったです。そして、とても感動したのを覚えています。

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